今でも実行している父母の教え
私には、今でも実行している父母の教えがあります。父からは「酒を飲む前に牛乳でも天ぷらでも何でもいいから腹に入れておきなさい。」と、母からは「寒さに負けないよう薄着で暮らしなさい。また「寝るときには胸を圧迫しないよう軽めのものをかけなさい。」と教えられたものです。
父は、元来大酒飲みで酒を切らしたことがありません。一年365日毎日一升瓶をわきに置き冷で飲んでいました。かと言ってアル中ではありません。日中は日曜日を除き会社勤め、家に帰れば真夜中の12時近くまで畑仕事、それから晩酌となるのです。
その頃、父のお腹はすきっ腹とてもじゃないけど体が酒を受けつけません。だから母がつくった煮しめや沢庵そして天ぷら等を胃袋に送り込み安心してから飲み始めていました。すきっ腹に冷酒は悪い!これは父が学んだ教訓だったのです。
母は、子供6人を丈夫に育てるために苦労しました。私は厳寒のまっただ中に産まれた末っ子、それだけに寒さに負けない丈夫な子供にしたかったのだと思います。
私が22歳で自立するために家を出るとき、母が用意してくれた物は軽めの掻巻(かいまき(袖のついた着物状の寝具)と半袖のシャツ数枚でした。これには母の強い信念を感じました。「体に気をつけなさい」という無言の教えと受け止め、ありがたく頂戴しました。
父も母も、戦後の厳しい時代を乗り越えるために人の数倍苦労したと思います。でも、子供6人には分け隔てなく接してくれました。父から私への一言「すきっ腹にお酒は悪いぞ・・・!」は自分が身をもって経験した、転ばぬ先の杖と受け止めました。要は体を大事にしなさいという教えだったのです。
母のふたこと「人より薄着で・・・」と「寝るときには胸を圧迫しないように軽めの物を・・・」とも、体を大事にしなさいという教えと理解しました。偶然にも、父母共に同じ思いで私に言葉をかけてくれたのです。有難いことです。
だから、私は厳しかった今年の冬でも、薄手のパジャマの下は半袖シャツ1枚、布団も薄手の夏掛け1枚といったところでした。こうすることで上半身が圧迫されず気分よく休めたものです。そうそう私は父と同じ冷酒派、こちらも冷えた体をぬくぬくと暖めてくれました。有難いことです。今は亡き父母に感謝しています。「私はおかげさまで元気です。有難うございます。」