焼き芋の思い出
- 焼き芋は時節柄いまが一番うまい時です。今おもえば焼き芋には懐かしい思い出があります。小学2年生のころ、学校帰りに一人で平地林の奥のほうに足を踏み入れたものです。そこには小さな掘立小屋がありおじいさんが一人で住んでいました。お仕事は木こりさん、いうところの山林の木を切ることがしごとです。
- ある日いつものように小屋を目指して近寄ってみると、モンモンと煙が立ち込め木の葉が威勢良く燃えていました。気が付けばおじいさんが何処からか戻ってきました。二人の間に会話はありません。小一時間ほど過ぎたころおじいさんは火の中に棒を突っ込み何やら取り出したのです。そしてそれを新聞紙に包みわたしに渡してくれました。真っ黒に焼けたさつま芋でした。腹が減っていたわたしは無我夢中でハーハーいいながら全部食べてしまいました。おじいさんはそんなわたしを黙って見ていたのです。
- いま思えばあの時の焼き芋は生涯忘れないほどの美味しさでした。戦時中に生まれた小学生の昼食はイチゴジャムつきのコッペパン1個に脱脂粉乳、例のあの粉ミルク一杯です。これでは腹が持ちません。学校帰りは空腹で歩けないほどのつらさでした。そんな時におじいさんが焼いてくれたあのお芋は天からの贈り物でした。今は亡きおじいさんに心からお礼をもう上げたいです。ごちそうさまでした。感謝 感謝 感謝 ありがとうございます。