豪華な弁当の思い出
今をさかのぼること64年前といえば中学1年です。授業のことはまったく記憶にありませんが、くだらない事だけは鮮明におぼえています。なんせ程度が低く55人クラス中40番あたりであったことは事実です。そうそう豪華な弁当の話をします。その持ち主は質屋のむすこ丸刈り君でした。能力はと言えばこちらと同程度、なのに人気があったのです。特に昼になると彼の周りには幾重もの人だかりができるのです。何故かといえば彼の豪華な弁当が気になるからです。中身はとうぜん銀シャリ、箱の三分の一くらいを分厚い特大の卵焼きが敷き詰められ、余白のところには赤い明太子が一本ドーンと横たわっていたのです。それを見るだけで唾が出たものです。その他大勢のクラスメートのそれは、麦飯に海苔そして梅干しが大半でした。彼一人だけがうまそうな弁当をほおばっていたのです。戦時中に生まれた私達は、大家族が多く食べるだけで精いっぱいの時代でした。厚焼き玉子や明太子などは夢の夢でした。今はコロナで憂鬱な毎日を送っていますが、なぜかあの当時をついつい思い出してしまいました。仲間の皆は元気かな?彼はどうしているのかな?思いは尽きせません。平穏無事でいることを願うだけです。厚焼き玉子に明太子腹いっぱい食べたいな!!